2012年6月20日水曜日

現場重合プロセスによる複合材料自動車部品の製造(Engel)


最近のヨーロッパの技術展では、e-victory 310H/310V/120 combi 射出成形機を用いたユニークなプロセスでのブレーキパネルインサートの製造のデモンストレーションが行われている。

プロセス1 ファイバープリフォームの作成

プロセス2 多軸ロボットでプリフォームを型に入れる

プロセス3 新たに開発されたサーボエレクトリックな高圧RTMユニットを用いて樹脂の中間材料であるカプロラクタムを流し込む

プロセス4 カプロラクタムが高温型の中で重合しナイロン6になる

注:同様の技術は日本でもナガセケムテックスと日東紡等で開発されている。(公開情報)

Engelは、この現場重合技術をフランフォーファー研究所(Institute for Chemical Technology (ICT))と共同で開発した。

この技術のミソは、ナイロンと比較して極端に粘度の低い中間材料であるカプロラクタムを導入することで、細い繊維束の中にも繊維配向を乱さずに樹脂を含浸させることができることである。これにより荷重を考慮した最適設計が可能になる。

尚、下のリンクの記事では成形機を型番で限定しているが、何が要件なのかは恐らく秘密にしたいのだろう。:)

2012年6月18日月曜日

一般自動車の構造用複合材料技術:Umeco



メインストリームの自動車用途向けの高機能複合材料利用の可能性を探るためのコンソーシアムが結成されたそうだ。(ACOMPLICE)このコンソーシアムはUmecoが主導し、以下の企業が参加する。(Aston Martin Lagonda, Delta Motorsport Ltd., ABB Robotics, Pentangle Engineering Services Ltd.,)
ACOMPLICE
A : Affordable
COMP : Composites
LI : LIghtweight
C : Car
S,E : StructurEs 
ちょっと無理があるからきっと略語のACOMPLICEの語呂が良いのだろうな。
CO2排出量削減の為の軽量化と燃費向上....何処でも同じよく聞く話である。近頃は逆の心配、即ち地球の寒冷化も言われているので、温暖化のキーワードはもしかしたら消えてなくなるかもしれない。 ただ、それで資源の節約は必要なので、技術開発の方向は間違っていないだろう。金属材料では長いことこの路線の技術開発が行われてきており、値段もこ慣れて来ているが、そろそろ頭打ちなので複合材料によるソリューションが求められている。
このプロジェクトでは、今後の2年間で1.5Mユーロ(1億5万円)の予算を使って、メインストリームの自動車のボディーを低コストで製造する技術の開発を目指す。ここでは、事前に樹脂を含浸したロボットでの積層作業と高速キュア技術に適した汎用中間材料を開発することで目標達成を目指すようだ。

Consortium Created to Develop Lightweight Composite Vehicle Structures

http://www.compositestoday.com/2012/06/consortium-created-to-develop-lightweight-composite-vehicle-structures/

2012年6月14日木曜日

複合材の世界的トレンド

ヨーロッパのイベント(JEC Paris)だったとしても、日本の扱いが淡白過ぎないかと思ったが、自分で昨年ドイツのAVK等を見て歩いた感覚からすると、寧ろ当然の様な気がしてしまった。(ちょっとタイムラグがあるのはご愛嬌)

「アジアの方は、生の材料の方によりフォーカスしているような....」だけである。

確かに、実際の工業生産に使えそうな特許の半分以上がヨーロッパで、オートメーションの進み方等を見て日本の現状と比べると確かに納得できる。レーシングカーの頭から全く切り替わってないというのが日本の現状だと思う。(例外はあります)

確かに、自動車を見据えての大量生産技術は今後益々重要になってくるのと考えられるのだが、Frédérique Mutelさんが言うように、現状ではEUが世界の製造技術をリードしていると言わざるを得ない。製造関係の特許数は全世界の52%がEUで、恐らく差は開く一方だと思う。至急対策が必要だろう。


米国:(航空産業関係の)仕様がどうのという話と、建設関係ばかりが(だから技術は生まれない??)
アジア(控えめに日本の事):前述

これが、外から見た比較的正直な感想ではないだろうか?

「炭素繊維作ってる」からとか、「B787の部品つくってる」から最先端という認識は何も有利な状況をもたらさないと思うので捨て去った方が良い時期が来ているのではないか?

このままでは、ドイツ車の方が日本車より安価で高性能な時代が来てしまう。



http://www.compositestoday.com/2012/06/global-trends-in-composites/

Frédérique Mutel President and CEO, JEC Group and Lars Lindstedt, Business Project Manager of Composite Machining, Sandvik Coromant

2012年6月12日火曜日

柄の曲がったワイングラス

学生時代に学会でスウェーデンに行った帰りにストックホルムの土産屋に入った際の話です。友人への土産を探していたところ、柄が曲がって面白い形をしたワイングラスを発見しました。洒落が利いていると思い早速購入したのですが、商品以上にお土産としての価値を上げたのがその後の展開でした。

Hur mycket kostar det? (自分:お幾ら?)
Ett hundra..... (店員:百ちょっと.....忘れました)
Protar du svenska?  (店員:スウェーデン語話せるの?)
Nej (自分:いいや)
Here you are.(店員:(笑顔で)どうぞ)

んっ???実はこの店員さん、ガラス製で柄の曲がったグラスをそのまま裸でくれようとしたんです。日本では考えられませんね。流石に、これでは持ち帰り不可能なので箱と緩衝材をお願いしましたが、まあ、こんなもんです。いいとか悪いとかではなく、彼の責任範囲外なんですね。とまあ、お土産以上に土産話が出来たというお話です。

その後1年間スウェーデンに住む機会が有りましたが、やはりこの辺り感覚は日本とは相当違います。引越しの荷物でさえ、特別に電話して交渉しないと直接アパートには届けてくれません。(住所、連絡先を知っているのにです。)これは別にスウェーデンに限った話ではなく、世界中何処へ行ってもこの手の感覚の違いを体感することができると思います。

海外では基本的に黙っていて進む事はないと思うのが妥当ですし、勝手に気を遣ってくれる事も無いと考えた方が精神衛生上よろしいです。だからという訳なのか、私が見た印象では、欧州の人々は既についた話に関しても、ひっきりなしにコミュニケーションを取りながら進める場合が多いです。恐らく、それをしないと止まってしまうんでしょうね。

こういうところで、どうやって工業製品の品質を維持するのか?これに関しては、土台となる思考様式や人々の均質性という点が日本とは全く異なるので、かなり大胆な発想の転換が求められます。実は、国際的な規格や監査基準はこのような混沌とした状況での生産を前提にしています。従って、日本人には中々馴染めないところも多いと思います。実際、日本ではこれまでも品質の高い製品を世界に送り出しているのですが、日本的な管理方法そのままではそれらの監査基準を満たすことができないという事が起こり得ます。

まあ、わかりますよね。「日本の工場をそのまま隣国に持って行ったらどうなるのか?」という話です。必要なのは、コダワリやマゴコロではないのです。細かい話は、別の機会に、

2012年6月9日土曜日

START-UP NATION

今朝は家族と一緒に近所のショッピングモールに行って来ました。私は個人的にショッピングモールが苦手なので本屋で暫く時間を潰しました。(本屋と食べ物屋以外に長時間居ると頭痛が始まる)

ビジネス書のコーナーを歩いていたところ、何ということでしょう見慣れた表紙の本があるではないですか。♫ 先日、原書で読んで非常に感銘を受けた「Start-up nation   The story of Israel's economic miracle  (Dan Senor and Saul Singer)」という本の日本語訳が出版されているではありませんか 和名タイトルは「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業を欲しがるか?」

原著を通して読んだ者としてはいきなりタイトルから違和感を感じるのですが、本を売るマーケティングと言う観点ではこれが良いのかもしれません。ハッキリとは言いませんが、現行の我々の意識レベルを反映しているようで面白いです。(舐められてますよ 笑)恐らく中身は殆ど一緒だと思いますが、原著はなかなか面白かったと言っておきます。

私はこの本を読んで、イスラエルという国には、今の日本に欠けている大切な要素があると感じました。そこで、それを日本に導入すべく色々な方法を模索しています。既に幾つか現地企業にコンタクトを取るルートを得ているので、もし、具体的なビジネスがお有りの方は是非、ご一報下さい。サポートさせて頂きます。

さて、このブログでこの本の詳細を語る訳にも行かないのですが、イスラエルの産業の発展には、軍需産業に限らず、徴兵制度による人的ネットワークと、非常に厳しい戦争を勝ち抜く為に養われるリーダーシップや限られたリソースとギリギリの状況で常に臨機応変に対応する事が求められている事によるイノベーティブな発想力が大きな影響を与えているのだろうという事が書かれていました。(すみません、まだ翻訳読んでません。)確かに、本に書かれた具体例の多くを見るとなるほどと納得させられるものばかりでした。

さて、高度な軍隊という事ではイスラエルだけでは無く、例えばアメリカ等も非常に強大で高度な軍事力を有しておりますが、現在の産業のイノベーションに与える影響という観点では、イスラエルよりも小さいと思わざるを得ないとも書かれております。これに関しては、色々書かれてはおりましたが、一つ興味を引いた喩えとして「米国の軍隊はレーシングカーで、イスラエルの軍隊はジープだ」というものがありました。レーシングカーは非常に高度に設計され高速で走ることができますが、多くの人間のシステマティックな働きと、周到な準備(想定内の)の上に成りたっています。それに対して、リソースと時間の限られたイスラエル軍ではそうも言ってられないので、臨機応変にどんな状況にも対応できるジープの様な運用が求められるということでした。

さて、これを自分の日常に置き換えると、時間的にも経済的にもそこまで恵まれていない状況ではイスラエル型を目指すのが良いと思っています。ここで言う「イスラエル軍型」に対する「アメリカ軍型」といのは、基本的に決められてプログラムに則って訓練された兵士であれば誰でも運用できる枠組みの事です。雑多な人間が集まっても運用できるような仕組みはもちろん有用だと思うのですが、実際には誰もがそのような状況を整えられる訳もなく、何もないところから何かを立ち上げる所謂"Start-up"には不向きな枠組みだと思っています。実際、決められたステップや方法論を踏襲すれば成功するというものは何もない訳で、結局、自ら動きながら臨機応変に最適解を探るしかないのではないでしょうか?これはある意味当たり前の事だと思うのですが、残念な事に、日本で(または米系外資系大企業で)システマティックに行動する事を仕込まれた人達の中には、全部穴を埋めないと行動できないタイプの人も多いようです。既に刷り込まれている行動パターンを変えるのは困難だと思われますが、この本の前半分位を読むと色々感じる所があるのではないでしょうか?

お勧めです。











2012年6月7日木曜日

The great wall around Japan


The word "Great wall" is of course famous for Chinese construction which is visible even from the international space station. But the great wall I am going to talk about is not the visible one but invisible one around our country Japan.

In Japan we have huge domestic market consist of more than 120M of population with strong purchasing power. Despite of the global horrible economic condition our currency become higher and higher. It means our purchasing power is still increasing now. (It is not always so simple but...) Additionally we have a lot of advantages for long term business relationship, stability of the country, the culture based on mutual trust, social infrastructure, wide range of high-tech supporting industries. For many foreign companies it should be attractive to penetrate into Japanese market not only for huge domestic market but also for the access of even larger asian market including chinese through Japanese giant companies.


 But the problems are like that, it takes long to get return out of new business here in many case. It is mainly due to the difference of our culture and system from the rest of the world. It might be a quite big factor of unknown for many foreigners. Thus it is quite big wall for them especially the company of smaller scale. That might be a reason why many of those company choose EU or US market for their area for penetration. Because people may feel it easier to understand the business culture and language there and they feel that the process is shorter and less expensive.  Language and communication is also the problem. Basically our society is not designed to communicate with foreigner using other language. Thus it is not easy to communicate with the people in English. Surprisingly it is not only for normal people but including the people who is relatively highly educated. (But people knows quite a lot from translations.)


However it is not the best strategy to miss lucrative Japanese market. You can enjoy ideal condition for long term once you could successfully penetrate into. Actually it is not really difficult with  some support. 


We will show you how to penetrate into Japanese market. Please contact us!We can provide consulting and translation service based not only on linguistic skill but also on deep understanding of science and technology behind.


Our focusing technologies are green technologies including light weight composites, sustainable energy source and other  solutions for higher energy efficiencies. (Not limited)


I-S3 

2012年6月6日水曜日

競争力の維持(?)

高度経済成長を経て日本の工業生産力、技術力が世界を席巻した時期があった。現在でも相当レベルを維持してはいるが、電機等幾つかの産業においては後発国に追い上げられ厳しい状況になってきている。このような状況になると、「もう日本は駄目なんじゃないか?」とか「世界から重要視されなくなったのではないか?」「(世界の皆さんは?)もう、私の相手をしてくれないのではないか?」等、女々しい事を言い始めて悲観する向きもあるが、大きな視点で見ると悲観する必要は無いと思う。というより、悲観は相手に軟弱で意志薄弱な印象を与えるだけで何も得るところがないので止めるべきだ。少なくとも悲観している相手を頼り甲斐のあるパートナーと思う人はいない。

先ず第一に、我が日本は購買力の高い1億2千万人の巨大な人口で構成された世界で最も良質なマーケットであり、それだけで無視される筈ない存在である。確かに、中国よりは人口は少ないが、どこの誰が放置するだろうか?また、社会も比較的均質でよく教育された非常に安定な構造になっており、事業等の長期間の継続が期待できる構造になっている。これらは、全て2千年以上の歴史で醸成された世界的にも非常にユニークな日本文化の上に成立しているものである。高度経済成長も世界に冠たる技術力もその結果の一部分であり、偶々、その時代においては、そういう結果になったというだけのことである。これらの所謂、文化とか習慣とかに関する部分は真似しようとしてできるものではないので、一時的な情勢で一喜一憂するものではない。

とは言ったものの負ける勝負はやはり負けるのである。特に、後発国では開発コストや人件費を安く抑えられるので基本的に有利であり、利益も上げやすいので次期の開発にも十分な資産を投入できる。このような流れが少し続くと巷間語られているような技術的優位等はそう遠くない将来に消失してしまう。従って、技術があるだとか、開発力があるという事は全くあてにならないどころか、気がついたら無くなっているようなものである。

ついでに言うと、日本の製品は品質では勝っているので、今後もこの路線でというのも破滅への道なので気をつけたい。品質の差が気になるのは競争相手の品質が著しく低い間だけであり、合格品同士の比較は意味を成さない。その一方、品質管理は基本的には熱力学の法則に反する営みであり、多大なエネルギーを必要とするので競争相手以上にそこにリソースを投入するべきではない。理屈に従った適切な諦めが必要である。

では、どうすれば良いのか?

前にどうやったのか?

この答えは、他にも色々あるかもしれないが、「”世界に先駆けて”安価で高品質な製品の大量生産システムを確立した」という事ではなかっただろうか?そこで、大成功したからここまで来られているのである。だが、そろそろ後ろからの追撃が気になって来ている。寧ろ当たり前の成り行きではないだろうか?この後すべきことはある意味明らかである。また、”世界に先駆けた”Innovationで世界に打って出る、これを未来永劫繰り返す。それ意外には何もないのである。まあ、大変は大変だが人が生きて行く上である程度の負荷がかかるのも自然なことだと思う。


巧遅拙速

何か知りたい事があって人に頼んだ場合、やはり「巧遅は拙速に如かず」という事に尽きるのではないだろうか?実際、それ程完成度が高くなくても直接説明を聞きながら一緒に考えた方が早いし、記憶への定着も良さそうだ。そもそもわかる為の調査検討なのだから判れば良いのだと思う。

完成度を求める話、つまり巧遅を求める場合には体裁が必要なのであって、情報自体には興味がないか、わかりきっている場合が多そうだ。実際、作り込まれた資料をじっくり見て、その段階で理解が進むという状況はそれ程多くないだろうし、そんな時間の余裕はないだろう。だからという訳でも無いが、自分の質問に対する答えの速報に興味を持たずに、ひたすら完成度を求める人を見ると違和感を感じる。(受け手も作り手も)

2012年6月2日土曜日

Service contents updated!!

Service contents updated!
I-S3
-Consulting for Japanese market penetration.
-Translation
etc.



2012年6月1日金曜日

取り組み方

物事を進める際に、敢えて目的と手段を混同させて意欲や目的意識(?)を上げる手法が取られる事がある。例えば、売上目標だとか、成長目標、将来像、ビジョン、ピジョンとか言うのが大凡その類だろう。これらは、基本的に目的意識や思考力の乏しい人達を束ねて何かをしようとする時には短期間であれば有効だと思う。(大企業向きで、タイムスケールとしては学園祭の準備期間位が最適)ただ、人と違う事を考えてinnovativeなsolutionを提供しようと思うような集団を束ねるには甚だ不適切だと思う。寧ろ、個人的にはそんな名前がついた項目を大書しないとできない位の事はさっさと止めて別の事を考えたほうがマシだと信じているし、成長や将来像に関しては、完全に世の中次第だと思う。別に、世の中に合わせるから何もしないと言っているのはなくて、そのタイミングでできる事に全力で取り組むという事で良いと思うし、それで十分に役に立てるのではないだろうか?逆にそれ以外が有ったら聞くだけ聞いてみたい。そもそも、「目標立てて、思考停止しないと僕は何も行動出来ないんです。」って人からアドバイスを受けたいと思うだろうか?寧ろ、「君、生き方を少し考えた方が良いよ。」とアドバイスしたくなるのではないだろうか?

世の中手っ取り早い方法論は色々あるが、「一寸待てよ」と本質を考える習慣は大切にしたいものだ。幸い、我々の初期の顧客ターゲットはそのような習慣を持っている人達なので、寧ろ、異文化に根ざした考え方を吸収して、深みを増していきたいと思う。

そもそも、成長目標ってなんだ?若干、下品ではないだろうか?
西郷隆盛は、「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。」と言ったが、流石に、自分はそこまで出来ないし、どれも喉から手が出る程(?)欲しいのだが、少なくとも外向きには、それとは関係ないかの如く振舞いたいと考えている。心の中に関しては、大人の付き合いと言う事でそっとしておいて欲しい。