2019年9月9日月曜日

強風の影響か 千葉のメガソーラー発電所で火災 ← 違います!電気で火を起こしてます。

「強風の影響か 千葉のメガソーラー発電所で火災」
https://times.abema.tv/posts/7018742

台風15号の影響で千葉県の山倉ダムで太陽光パネルの火災が起こりました。14:06現在では、まだ「消火のめどは立っていない」そうです。恐らく、今晩火は消えるでしょう。しかし、残念なことながら、明朝再度出火します。(夜の間に破損パネル・ストリングを撤去できれば別ですが、日中は大変危険です。)

何故、今回の様な火災が起こったのか?中々消えないのか?
ここでは理由を簡単に説明してみようと思います。この手の水上ソーラーの設備では、多くの場合、集中型のパワコン(セントラルインバーター)が使用されています。セントラルインバーターはパワコンの中でも比較的大容量の機種が多く、1台で数100kWから1MWの出力に対応します。今回の山倉ダムでは、発電所の規模から考えて500kWのパワコンであれば24台くらいが用いられているのではないかと考えます。500kWのパワコンへの入力に相当するパネルの枚数は2000枚を超える枚数になり、概ね14~20枚毎に直列のストリングを形成するので、これらのストリングを並列に接続すると、100~150個もの並列数になってしまいます。そのためこれらのストリングを一個ずつパワコンに接続するのは困難です。そこで、多くの場合、接続箱と呼ばれるフューズやブレーカーを内蔵した箱を用いてパワコンへの入力数を10系統以下程度まで落としてから太いケーブルでパワコンに接続するという方法が一般的に取られています。

この様な構成の場合、パワコンや接続箱には電流を遮断する仕組みがあるのですが、接続箱からパネル側には何もありません。その結果、集電箱よりもパネル側で配線の切断や漏電が起こった場合には、根本原因であるパネルからの発電が止まらない限り、パネルからの電力で火災が起こり続けることになります。水上ソーラーの場合、切れた配線の漏電経路に樹脂製のフロートがあるため、消火するのは簡単ではありません。報道の写真は消防車から放水している様子が写っていましたが、実は水が導体になって火災を引き起こしているのです。先程も申しましたが、恐らく夜には消火します。しかし、のんびりしていると朝には再度出火しますし、危険なので夜まで撤去作業に着手できません。報道の消火シーンを見る限り、事業者からの適切なアドバイスが消防に伝わってはいないようですから、明日も要注意です。

実は、水上や金属屋根の様に電気を流す性質の場所に太陽光パネルを設置するのには注意が必要です。火災の際の延焼防止や安全な撤去作業をどの様に担保するのかも重要です。現状、この問題に対する有力な解としてもパネル毎の出力を最低限の安全レベルに抑制する安全装置を設置し、万が一の事故の際にも安全に消火や撤去作業できるようにすることがあります。このような安全装置を用いた太陽光発電システムは一部のメーカーに限られてはいますが、既に米国の市場ではNo.1になっていて広く受け入れられております。このような災害が起こる度にという側面はありますが、この機に漏電事故のリスク低減にかんしてもキチンと考えたほうが良いと思います。

燃えたり漏電したりさえしなければ修理・復旧も比較的簡単なので、水上ソーラー自体は良いものだとは思います。

本件事故の当事者を含めて、漏電事故のリスクの低減を検討される場合には、是非、ご連絡下さい。