2020年2月17日月曜日

オプティマイザーを用いると 〜シングルMPPTからマルチMPPTへ

パワコンは太陽光パネルからエネルギーを最大限取り出す為にMPPTと言われる仕組みで最適な電流と電圧を求める制御をしながら動作しています。ところが、部分的に影がかかったり、故障したり、傾斜角が異なっていたりすると、その系全体に対して最適化してしまうので各パネルからの出力を効率よく変換することができなくなってしまいます。その為、近年、最適化する範囲を狭くする分散型パワコンや、一つのパワコンに複数のMPPTをもたせたパワコンが増えて来ました。オプティマイザーもこの文脈で出力を最適化する機器で、パネル毎やストリング毎の出力を最適化することで変換効率を高めています。

今回、5.5kWのシングルMPPTのパワコンからパネル(2枚)毎にオプティマイザーを設置するタイプのパワコンに交換したデータが取れたので紹介致します。下のグラフのPCS2(オレンジ)をSolarEdgeのHD wave(5.5kW)に交換したところ、交換したパワコンに相当する部分の出力が目に見えて増加しました。元々、PCS2は影などの影響で日射条件の良いパワコンと比較してやや出力が少なかったのですが、交換後のパワコンの出力は同一施設内で最大のパワコンと同等の出力が得られる様になりました。これは、過積載条件下でオプティマイザーを設置した際の典型的な結果で、5.5kWパワコンが出力し得る最大限の出力を出している時の特徴です。




シングルMPPTのパワコン9台からなる発電所のパワコンのうち、PCS2だけをオプティマイザーを用いたマルチMPPTシステムに変更した際の変化。明らかにオプティマイザーを用いると出力が増えることがわかる。

南北両面設置の効果〜住宅用自家消費太陽光発電

さて、私事なのですが、自宅の屋根に太陽光パネルを設置して1年が経過しました。その間に気がついたこと、実際の効果などに関しては既にこのブログでも何度か触れております。

我が家の太陽光発電システムの特徴は、何と言ってもSolarEdgeのパワコンとオプティマイザーを用いることにより実現した、「南北両面設置でも高効率で大発電量を確保できる。」ところです。これは、いわゆる過積載と言われる手法で、パワコンの定格出力5.5kWに対して8.5kWpのパネルを設置しています。これ自体は野立て等でもよく知られた方法で珍しくはないのですが、屋根の上だと野立てと異なりパネルを設置する面積が限られているという問題があります。それに加えて、屋根の勾配は必ずしも一定ではなく、場所により複数の方角に傾斜していたり、影を作る障害物があったりします。従来の太陽光発電システムでは、パネルの角度が一様でなかったり、ストリングの途中に影がかかったりすると、それらの部分の発電が減るだけでなく全体の出力を押し下げてしまうという問題がありました。

SolarEdgeの場合、パネル毎にオプティマイザーが付いているので特定のパネルが全体の足を引っ張る心配はありません。つまり、多少、発電量が少なくてもそれなりに発電して、投資回収率が上がるのであれば1枚でも多くパネルを設置するのが正しいという事になります。極端な話、垂直な壁に設置するのも有りです。

「とは言ったものの、実際の効果はどうなの?」と聞きたくなるのではないでしょうか?
私もこのシステムを皆様に紹介するにあたり、そのデータが是非欲しいと思っておりましたところ、この度設置から1年が経過したのでデータを公開致します。

結果は概ね予想通りで、冬場の北側の発電量は極端に低いものの夏場は南側と遜色がなく、1年通してみると南側の65%の量を発電しているということがわかりました。因みに我が家の屋根の傾斜は約20°の4寸勾配です。

1年間の総発電量も約10,000kWh程度なので、DC8.5kWpのシステムとして悪くない値です。従来から住宅用は余剰電力販売でしたが、今後は、蓄電池の普及に伴い自家消費という観点が益々重要になってきます。自家消費を考える際には、消費量を全て自家発電で賄えるかどうかというのが発電量の一つの目安になります。その為には、「限られた面積から如何に多く発電するか?」ですとか、「人が住む環境下での発電が安全であるか?」などの観点も重要になってきます。

南側(青)と北側(オレンジ)に設置されたパネルそれぞれ1枚からの発電量:冬場には南北の差が大きいが夏場には差が小さくなる傾向が顕著。年間を通すと北側の発電量は南側の65%



2020年2月14日金曜日

太陽光発電による電力の自家消費に関して(産業用)

FITにより太陽光発電は劇的に普及し、本格普及期に入って来ました。今後は、EV等の蓄電池の普及やエネルギー利用効率の高い自家消費方法が開発されながら徐々に脱FITが進んで行くでしょう。

既に、FITで売電可能な価格は電力の消費者が購入する電力価格よりも安くなっておりますので、適切な消費目的があれば自家消費をすることで電気代の節約が可能です。例えば、商店や中規模以上の工場の屋根に現実的に設置可能なDC容量、例えば50kW程度であれば売電すると13円/kWhなので、売電せずに自家消費をする方が3~5円/kWh程度お得になります。

電力のコストを減らすことができれば、生産コストが減ります。生産コストが減ると、競争力がアップしますし、人を増やせる、待遇改善ができるなど良いことの連鎖が起こります。量子に色があっても電気に色はありません。使えば一緒です。一緒であれば幸福な要素の多い自家消費ということになると思います。電力の自家消費によってメリットのある方は是非、積極的に考えることをお勧め致します。

システムの詳細は、お客様の電力消費事情や建屋の規模などによって様々です。
連絡を頂ければ、調査をした上で最適なシステムの提案を致しますので、是非、ご連絡下さい。

自家消費電力システムの選定において注意すべき点は多々ありますが、弊社で提供可能なシステムの他社には決してない特徴は以下の通りです。(同じ製品を用いる方は除く)


  • 消費量の100%を太陽光発電で賄える唯一のシステム(他社では70~80%に制限されます。)
  • 万が一の事故の場合、パネル毎に出力が抑制されるので感電や火災のリスクが小さい
  • 遠隔監視システムによって、パネル毎の監視が可能なので不具合を迅速に解決してシステム稼働率を下げない