2023年12月3日日曜日

エネルギー革命:自律・分散配置・柔軟なグリッド連系で描く未来のエネルギー (コンセプト)

はじめに

正直に言うと、私は新しいビジネスモデルや未来の世界についてのお話をしているつもりのことが多いのですが、どういう訳か、私が技術的な細かい話しをしていると誤解する人が多いようです。これは本当に謎で理由を真剣に追求したいです。 私は基本的に物理学の分野で教育を受けたため、実験で新しい事実や真理に気が付けることや、定量的に可能性や確率を議論することは好きです。 ただ、私は別に細かいことにこだわるわけでも、エンジニアっぽいことが好きなわけではまったくありません。寧ろ忌み嫌っているし、エンジニアという人種がそもそも好きではありません。


また、個人的にはエンジニアリングの取り組み自体は単にコストに過ぎず、できることならば、そんな取り組みは極限まで少なくするべきだと考えています。 必要な場合のみに最低限の優れたソリューションが必要という訳です。 個人的には、シンプルさを追求するためには整理するためのトライアルの数も最低限であるべきと考えています。 全体像についてゼロから話しをしましょう。 巨大なインフラを変える最適化するのではなく、末端のブロックをこっそり置き換えることで、世界をこっそりと全く別なものに変えるストーリーをお話します。 


そんな話の一つとして、これからエネルギーをどうやって扱って行こうかというお話をさせてもらいます。

近年、太陽光発電を始めとする分散型の再生可能エネルギー電源の普及や大容量のLi-ion電池の普及により私達の生活は大きく変化しようとしています。太陽光発電のコストは既にあらゆる発電方法のなかで最安になっており、設置のしやすさと相まってあらゆる場所へ設置可能な分散電源としてますます増えていくことが予想されます。しかしながら、太陽光発電はその特性上、発電時間が限られることから蓄電池との組み合わせが重要になってきます。実は、その蓄電池に関しても、既に大衆向けの電気自動車(EV)が世界中で本格普及期に入っており、私達の生活が大容量蓄電池があることが前提の形に変化していくことは半ば必然と言える状況になってきています。そうなって来ると私達が将来利用する電力は従来の大型発電所で発電したものを広域送電網で各需要家に送るという19世紀末以来のやり方から、電力系統(グリッド)の末端に近い分散された発電設備から近い需要場所への供給が中心の分散型システムにシフトして行くことが予想されます。

その様な状況のなかで弊社株式会社I-S3では、以下の三要素を中心に「エネルギー革命:自律・分散配置・柔軟なグリッド連系で描く未来のエネルギー 」というキャッチフレーズで新しい時代のエネルギーの提案をしていきます。

  • 自律
    それぞれの需要場所やエネルギー設備が中央管理なしに自律的に動作すること
  • 分散
    それぞれの需要場所に分散設置されていること
  • 系統疎結合
    系統からの電力の取り込みは可能でも、必要に応じて電力系統との接続を切り離したり、再連系することが可能で電力系統への依存度が低いこと

これにより実現する電力の使用方法は従来のものとは大きく異なって来ます。従来の広域位送電を前提とする仕組みでは重要であった「電力の安定供給」というものが殆ど意味のないものになり、実際に私達が生活する上で必要なのはあくまで「電力の安定利用」であることが明らかになってきます。もしかしたら、これは電力供給が始まって約130年最大のパラダイムシフトかも知れません。

自律的なエネルギーシステムの重要性

「自律」的システムとは何か?

自律的システムとは、現在の家や事業所などの電力グリッドの末端のそれぞれの需要場所を電力使用・発電のユニットと考えて、そのそれぞれのユニットが電力の需要や余剰の状況をセンサーやインターネットを介した情報をもとに自律的に判断して運用する仕組みです。基本的には自動で運用し、必要に応じてグリッドとの接続を遮断したり、再連系したり余剰電力を近隣やグリッドに供給したりも行います。つまり、私達が考えるシステムは個々の家などの非常に小さい単位が主体の基本的にはスタンドアローンでも動作し、遮断・再連系も柔軟にできるグリッド依存度の低いシステムです。

既存の中央集権的なシステムとの違い

基本的に私が考える近未来でも19世紀末以来の電力供給網は残っており、引き続き電力は供給されるので、それを用いることは可能という前提で考えています。但し、今後は分散電源の時代になるので、システムの維持や近代化・高度化の為の大きな投資は次第に困難になって行くと予測しています。そこで、私達は大規模な系統全体のアップグレードは諦めて末端を1箇所ずつ高度化していくアプローチを提案し、末端から社会を変えて行きます。

自律システムの場合、中央集権的な電力供給も情報管理もを行わないので、各案件ごとに自由な設計でシステムを構築することが可能です。これにより、技術開発や実生活からのフィードバックが短期間進むために、極短期間で最適システムの知見を得ることが可能です。この点は、従来のシステムの設置やアップグレードには多大な投資や社会的なコンセンサスが必要で非常に時間がかかることと対照的です。昨今は時間の流れも早いですから、従来システムのアップグレードではもしかすると着手する頃には技術が陳腐化していたり、アイディアが適切ではないことが実証されているなんてことも起こるかも知れません。

自律性がエネルギーセキュリティーにどう影響するか?

分散性と合わせて自律性はエネルギー供給のセキュリティーに大きく影響します。これは、もちろん物理的に発電設備や送電が分散型であるということにもよるのですが、それに加えて、情報管理やシステムの制御においても基本構造がスタンドローンなので基本的に広域災害の影響は受けにくいです。また、それぞれのシステムが同時に独立して動いているので、バグや情報セキュリティーのリスクも波及しにくい形になってて、国全体のシステムとしては非常に堅牢性の高いものになります。

柔軟なグリッド連系の必要性

私達が目指している方向は基本的には大容量蓄電池を用いたオフグリッドシステムです。しかし、現実的な大容量電池の供給やシステムの普及戦略を考えると、既存の電力供給が期待できる間はそれを用いるという前提で、円滑な普及を目指す必要があります。 特に、国や大手電力会社を始めとする大資本の方々はスマートグリッド(大規模)やマイクログリッド(中小規模)という私達が想定するスケールよりも何桁も大きいシステムを念頭に社会のアップグレードを目指しています。私はそれらの試みは尽く失敗に終わるとは思いますが、全体的な状況として、それらの試みのなかで既存のグリッドもある程度は更新管理される見込みがあるので、その間は利用させて貰うのが得策でしょう。

実現するためのステップ

  • ここで述べたコンセプトは従来のエネルギー供給の概念を大きく変えるもの私達の生活や社会構造を激変させるものです。それを実現する為には、先ずは、自家消費や余剰電力売電などの目的の太陽光発電設備を多く設置し分散電源の拠点を増やすことが大切です。その後、EVの普及などに合わせてEV充電などに発電した電気を有効利用する提案を行います。その後大容量蓄電池を導入して行く訳ですが、その際に各需要場所の電力供給の仕組みをDC-coupling方式にすれば有効に取り出せる太陽光発電由来の電力の総量が多くなることや、不要なDCAC変換のロスも避けられるなどのメリットがあるため、適切なタイミングで太陽光発電設備と蓄電池や負荷を統合するシステムを従来のAC-coupling方式からDC-coupling方式のシステムに置き換えることも重要です。DC-coupling方式を住宅内の負荷まで拡張できれば、家電を始めとした生活家電のインターフェースも従来のACコンセントプラグに替わるよりスマートなものを全世界共通で提案できるなどの新しいメリットも見えて来ます。

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