太陽光発電は再生可能エネルギーのなかでも設置が容易でコストも低いことから最も有力な電源として普及が進んでいます。 特に日本では2012年のFIT開始により大幅に普及が進みました。 しかし、普及と同時に根本的な誤解に基づいた太陽光発電の欠点を殊更強調して批判する人も跡を絶ちません。 例えば、それらの人々は太陽光パネルの寿命が20年程度でかなり短いと思っている様です。 これは、FITの期間20年やメーカーの発電量保証の25年の数字からの誤解だと思われますが、多くの人がこの期間を過ぎたパネルは即座かつ同時に発電しなくなってしまい廃棄しなければならない為に、FIT終了後に太陽光パネルの大量廃棄が起こるという前提でものを考えています。 これは、反対派だけでなく経済産業省などの行政でも同様の考えで制度設計をしている様です。
しかし、当然ですがその様なことは決して起こりません。 実際のパネルの寿命は20年よりは遥かに長いですし、多くのパネルの寿命が同時に訪れるということもありません。 これは、私達の寿命と同じで、全員が平均寿命の日に一斉に旅立つ訳ではないことを考えると明白であると思われます。
その一方で、実際の太陽光パネルは確率事象としてゆっくりと不均一に劣化して行きます。 その結果、ストリングの中や同じMPPTの範囲にあるストリング間でのミスマッチが起こり、発電量のロスが発生します。 この様なミスマッチを避ける為には劣化したパネルを交換するしかないのですが、設置後何年も経過すると同じ性能のパネルを入手することは現実的に不可能になります。
このことを避ける為には同じMPPTの範囲のパネルの電圧を揃えてやる必要があり、その為には、実際に劣化したパネルの枚数よりも遥かに多くのパネルを交換しないといけなくなります。 これは全くもって非効率です。
割と多くの方がFITの売電期間が終わると太陽光発電所を分解撤去しなければならないと信じている訳なのですが、今後も再生可能エネルギーの需要が高まる傾向であることを考慮すると20年と言わずもっと長い期間太陽光発電所を維持した方が良いと考える人も多いことでしょう。 そうなって来ると、どの様に効率的に劣化したパネルを交換するのかということも重要なテーマになってきます。
現状で私が知っている方法のなかで最も良い方法は、オプティマイザーを用いたシステムを導入することでパネルの交換を容易にするというものです。 オプティマイザーを用いることで、ストリング中のパネルの種類が一様でなくてもパネル毎に最大電力を取り出した上でストリング電圧を一定に保つことができます。 また、オプティマイザーにはパネル毎の発電状況のデータを取得する機能もあるので、これにより劣化など不良パネルを迅速に特定できる様になります。 それらを実現する為には、パワコンをオプティマイザーと協調して動くSolarEdgeなどのシステムに変更する必要があります。 この様なパワコンの交換を通して発電所の品質を向上させる試みをリパワリングと呼んでおり、リパワリングにより発電量の改善により投資効率を改善させると同時に、故障時のシステム停止リスクなど太陽光発電に関わる様々なリスクを低減させることができます。
リパワリングのメリットに関してはこのブログの別な記事でも詳しく解説しておりますが、これらのメリットに加えて、発電所の運用期間が長期になればなるほど最小限のコストで最適なパネル交換が可能になる方法としてリパワリングが最適であると言えそうです。
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