2025年10月2日木曜日

変圧器(トランス)のトップランナー制度の科学的妥当性および環境影響に関して資源エネルギー庁に公開質問状を提出しました。

変圧器トップランナー制度に関する公開質問状を提出しました

このたび、変圧器(トランス)のトップランナー制度の科学的妥当性および環境影響について、資源エネルギー庁宛に公開質問状を提出いたしました。また、公開質問状と同時に資源エネルギー庁内または業界団体、有識者の会議などでどの様な議論がなされたのかの情報も情報公開請求をしております。返答および公開情報は後ほど弊社から公開致します。


現行トランスの実力と新制度の問題点

現在流通しているトランスは、すでに高い変換効率適切な資源使用量のバランスを実現しており、十分に良い製品です。
しかし、現行のトップランナー制度の運用により、これまでの規格のトランスは製造・販売できなくなり、各メーカーは強制的に新規格への移行を迫られています。

問題は、今回の制度改定にあたり特段の技術革新が存在しないことです。効率向上のためには、単純に電磁鋼板や銅の使用量を増やして大型化・重量化・高価格化するしかない状況となっています。
これは革新ではなく、いわば Brute force(力技) による性能向上であり、資源の浪費にほかなりません。


「損失率低減」という誤解を招く指標

今回の制度は「損失率の低減」を目標に掲げています。しかしこれは本質的な変換効率の向上を意味するものではなく、むしろ数字の見せ方によって効果を誇張する仕組みに見えます。

たとえば、

  • 元の損失が50%であれば、26%低減すると変換効率は13%向上します。

  • しかし元の変換効率が95%であれば、改善はわずか1.3%にしかなりません。

このように、損失率という表現は実際以上に効果を大きく見せるトリックになっているのです。


経済性・社会的影響の軽視

実際にこのわずかな効率改善を得るために必要な投資を試算すれば、コスト過大という結論にしかならないはずです。
私たちは資源エネルギー庁に対し、

  • どこまで正確にこの問題を認識しているのか

  • 社会的な影響を十分に検討したのか
    を公開質問状として問いかけました。


現場での影響

すでに弊社では、

  • トランスの価格が2倍以上に跳ね上がるという通知

  • 納期が大幅に延びるという報告
    を受けています。

トランスは太陽光発電だけでなく、産業界のあらゆる場面で使用される基盤的な機器です。
そのため、この制度の影響は極めて大きく、社会全体にとって深刻な問題となると私たちは考えています。


結び

本件は「省エネ・効率化」という美名のもとで行われていますが、実態は資源の浪費・コスト増・環境負荷増につながりかねません。
私たちは、制度の科学的妥当性と環境政策としての整合性を問い、速やかな見直しを求めていきます。