2025年10月31日金曜日

【状況報告】トップランナー制度に公開質問状を送ったら…制度そのものがだんまりだった話

 

開示決定等の期限の延長について(通知

こんにちは。I-S3の益田です。

最近、同業の皆さまからこんな声をよく聞きます。

「キュービクルの見積もりが出ない」
「トランスの受注が止まっている」

理由は単純。
あの **トップランナー制度のおかげ(?)**です。

そして重要なのは、これは太陽光だけの話ではありません。

対象は:

✅ 10kVA以上
✅ 柱上変圧器以外
✅ ほぼ全業種・全てのトランス

つまり、日本中の工場・ビル・店舗・病院・公共施設・データセンターなど、社会インフラ全体に影響しています。

それなのに、市場は今、

  • 従来型トランスが「作れない」

  • 新型トランスは「まだ出てこない」

  • 見積もりは「出ない」

という“沈黙の期間”に突入中。

沈黙のあとに来るのは――

重量と価格がパワーアップした新トランス(予定)。

いや、それ要ります?


だから、思いました。

「痛みを伴うなら、根拠ぐらい教えて欲しい。」

制度を否定したいわけではありません。
ただ、対象が広すぎる以上、疑問が出るのは自然なことです。

  • 本当にCO₂減るのか

  • 低負荷で回収できるのか

  • 効率改善と重量増のバランスは

  • 誰が得をする制度なのか

そこでまず、公開質問状を送付しました。


結果:制度上「答えられない」らしい

返ってきた回答はこうです。

制度の仕組み上、個別の質問には回答できません。

いやいやいや。

日本中で使われる10kVA以上のトランスの制度について、
「仕組み上答えられない」って、そんな設定資料が存在しないソシャゲみたいな話あります?

そこで私たちは、ここで終わりにしませんでした。


✅「答えられない理由」を文書で回答するよう正式に要求しました

「回答できない」という回答だけでは、回答になっていません。

そこで以下を求めました:

  • 制度上答えられない根拠となる条文・規定

  • どの法令に基づき、どの範囲の質問に回答できないのか

  • 質問に回答できる窓口・制度・手続きは存在するか

つまり、

「答えられない」なら、理由と根拠を明示してください。

という、極めて真っ当な要求です。

(こちらも現在、回答待ちです)


ならば次の手段:情報開示請求

公開質問は制度上回答できないとのことなので、
次は資料そのものを確認することにしました。

つまり、行政文書の開示請求です。

すると、資源エネルギー庁から封書が到着。

中身は――

■「開示期限の延長通知」

開示は 12月1日まで延期とのこと。

理由はこちら:

第三者提出資料を含み、
意見照会および不開示除外の精査に時間がかかるため

要するに、

  • 資料は確かに存在する

  • 民間・業界団体等の提出物も含まれている

  • すぐには出せないレベルの内容

ということ。

通知の実物はこちら →開示決定等の期限の延長について(通知)  


可能性①:科学的根拠はしっかり存在 → それなら素晴らしい

その場合、当然こうなります:

  • LCA計算の根拠

  • 回収年数の試算

  • 社会的メリットの分析

  • 重量増・輸送・設置リスクの評価

資料が揃っているなら、現場は納得できます。

「じゃあ重くても運びます!
腰を壊しながら頑張ります!」


可能性②:出せない理由がある → それはそれで非常に興味深い

たとえば:

  • そもそも試算されていない

  • 数字が都合よすぎて公開できない

  • 特定団体の意見が強すぎる

  • 資料が少なすぎる(最悪)

もしそうなら、
重量増で肩を壊した現場の皆さんの心は少し軽くなるかもしれません(物理的には軽くならない)。


というわけで、次の山場は 12月1日

  • 公開されたら、中身を分析して報告します

  • 不開示なら、その理由ごと報告します

  • それでも曖昧なら、審査請求へ進みます

制度の透明性が高いほど、現場は安心できます。
透明性が低いほど、誰かが得をし、誰かが損をします。

私たちはただ、知りたいだけです。

「この制度、本当に地球のため?
それとも、誰か個別企業や公務員のため?」

12月に続きを報告します。
そのときはまた、面白い読み物にしてお届けします。

2025年10月25日土曜日

太陽光発電所の規制設計に関する見解 (合理性、自律性、先端技術利用)

太陽光発電は、無人で安全に稼働するエネルギー設備であり、社会に大きな恩恵をもたらしています。にもかかわらず、設置に際して過剰な規制が課されることが多く、特に架台強度や地質の詳細にまで行政が介入する現状は、合理性を欠いていると言わざるを得ません。


民間の投資行動は、本来「他人に危害を与えない範囲での自己責任」に基づくべきです。

設備が壊れても人的被害がなく、修繕や更新で対応できるのであれば、それは経済合理性の範囲内で許容される自然なリスクです。

「壊れてはいけない」という発想を一律に押しつければ、結果として高コスト構造を生み、再エネの普及を阻害します。


さらに、現在はAI監視・IoTセンサー・自動通報システムの進展により、遠隔での常時モニタリングや異常検知が可能となっています。

これにより、安全性は人手による管理よりもむしろ高まっており、現場常駐や過度な設計審査を前提とする時代ではありません。


今後の政策は、「壊れないように管理する」よりも、「壊れてもすぐに対応できる体制を整える」方向へシフトすべきです。

自律的な技術と市場の判断に委ねることこそが、持続的で柔軟なエネルギー社会を実現する鍵です。


2025年10月2日木曜日

変圧器(トランス)のトップランナー制度の科学的妥当性および環境影響に関して資源エネルギー庁に公開質問状を提出しました。

変圧器トップランナー制度に関する公開質問状を提出しました

このたび、変圧器(トランス)のトップランナー制度の科学的妥当性および環境影響について、資源エネルギー庁宛に公開質問状を提出いたしました。また、公開質問状と同時に資源エネルギー庁内または業界団体、有識者の会議などでどの様な議論がなされたのかの情報も情報公開請求をしております。返答および公開情報は後ほど弊社から公開致します。


現行トランスの実力と新制度の問題点

現在流通しているトランスは、すでに高い変換効率適切な資源使用量のバランスを実現しており、十分に良い製品です。
しかし、現行のトップランナー制度の運用により、これまでの規格のトランスは製造・販売できなくなり、各メーカーは強制的に新規格への移行を迫られています。

問題は、今回の制度改定にあたり特段の技術革新が存在しないことです。効率向上のためには、単純に電磁鋼板や銅の使用量を増やして大型化・重量化・高価格化するしかない状況となっています。
これは革新ではなく、いわば Brute force(力技) による性能向上であり、資源の浪費にほかなりません。


「損失率低減」という誤解を招く指標

今回の制度は「損失率の低減」を目標に掲げています。しかしこれは本質的な変換効率の向上を意味するものではなく、むしろ数字の見せ方によって効果を誇張する仕組みに見えます。

たとえば、

  • 元の損失が50%であれば、26%低減すると変換効率は13%向上します。

  • しかし元の変換効率が95%であれば、改善はわずか1.3%にしかなりません。

このように、損失率という表現は実際以上に効果を大きく見せるトリックになっているのです。


経済性・社会的影響の軽視

実際にこのわずかな効率改善を得るために必要な投資を試算すれば、コスト過大という結論にしかならないはずです。
私たちは資源エネルギー庁に対し、

  • どこまで正確にこの問題を認識しているのか

  • 社会的な影響を十分に検討したのか
    を公開質問状として問いかけました。


現場での影響

すでに弊社では、

  • トランスの価格が2倍以上に跳ね上がるという通知

  • 納期が大幅に延びるという報告
    を受けています。

トランスは太陽光発電だけでなく、産業界のあらゆる場面で使用される基盤的な機器です。
そのため、この制度の影響は極めて大きく、社会全体にとって深刻な問題となると私たちは考えています。


結び

本件は「省エネ・効率化」という美名のもとで行われていますが、実態は資源の浪費・コスト増・環境負荷増につながりかねません。
私たちは、制度の科学的妥当性と環境政策としての整合性を問い、速やかな見直しを求めていきます。



2025年3月31日月曜日

リパワリングを検討すべき新たな理由 3G回線

​​2026年3月末に予定されている3G回線のサービス終了に伴い、太陽光発電設備の遠隔監視や出力制御に影響が及ぶことが懸念されています。(遠隔監視装置、通信ゲートウェイボックスなど)特に、独自のネットワークを使用しているシステムでは、メーカー指定の機器への交換が必要となるケースが増えています。



3G回線終了の影響と対策

3G回線を利用した遠隔監視装置は、サービス終了後に通信が不能となり、発電状況の監視や異常検知が行えなくなります。これにより、出力制御の指令を受け取れず、最悪の場合、事業認定の取り消しリスクも考えられます。そのため、4G回線への切り替えが不可欠です。

メーカー選定の課題

しかし、これらの機器を提供するメーカーの中には、国内市場に限定された小規模な企業も存在し、将来的な事業継続性や部品供給に不安を抱えるケースもあります。そのため、安定したサポートと供給体制を持つメーカーの選定が重要です。

リパワリングの推奨

このような状況を踏まえ、最新型のパワーコンディショナー(パワコン)への交換、いわゆる「リパワリング」を検討することが望ましいと考えられます。リパワリングには以下のメリットがあります。

  • 発電量と売電収入の増加:​新しいパワコンは変換効率が向上しており、発電量の改善が期待できます。

  • メンテナンスコストの低減:​最新機器への更新により、故障リスクが減少し、維持管理費用の削減につながります。

  • 長期間の安定稼働:​新しいパワコンへの交換で、保証切れのリスクを回避し、安定した運用が可能となります。

さらに、旧来型からよりデータ運用にフォーカスした現代的なパワコンへの変更により、問題点の把握を迅速化しながらメンテナンスコストを低減することも可能です。


予想されていたパワコン交換費用と同等の費用でリパワリングは可能

元々太陽光発電のパワコンは消耗品であることは知られていた訳ですが、そのため、多くの人は10年程度を目処にパワコンの交換ができるように積立などを行っていたはずです。実は、より信頼性の高いパワコンへの変更、すなわちリパワリングはパワコンの交換費用とほぼ同等の費用で行うことができます。その上で事業リスクも減って発電効率も改善しますので、是非積極的に検討して下さい。弊社、株式会社I-S3でもお客様毎に最適なリパワリングの提案を行っております。近隣の方はもちろん、遠方の方でもご遠慮なくお声がけ下さい。​

まとめ

3G回線の終了に伴う機器の更新は避けられない課題ですが、これを機にリパワリングを行うことで、太陽光発電設備の効率化と安定性を高めることができます。信頼性の高いメーカーの機器を選定し、将来にわたる安心・安全な運用を目指しましょう。


具体的なリパワリングの相談は是非、弊社I-S3まで!