2021年10月16日土曜日

集中型(セントラル型)パワコンの置き換え(リパワリング)のお話

FITが始まった頃(2012年)の多くの太陽光発電所では、大型で100kW~1MWというクラスのパワコンが多く用いられていました。 これらのパワコンを用いるとパワコンの台数が少なくすみ、配線なども節約できることからイニシャルコストを下げる目的で、初期のメガソーラーで多用されて来ました。

現在では、小型の分散型パワコンの価格も下がったこともあり、多くの発電所では分散型のパワコンが用いられております。 これには価格以外の要因もあって、基本的には価格面の都合が付けば基本的には分散型が優れていると言っても過言ではありません。

では、集中型と比較しての分散型のメリットとは何でしょう? 主に下の4つの要素が挙げられます。 これらの要素を考えると残存の売電期間が十分にある場合には、既に集中型を設置した発電所であってもパワコンの置き換えをする(リパワリング)メリットは十分にあると言えそうです。 (個別提案します。 )もちろん、FITが終わっても再エネ電力は必要なので超長期で考えると尚更の話ですね。




故障被害の分散化

一番大きなものは、何らかの故障の際にその被害を最小限に留められることでしょう。 仮に、発電所にパワコンが一台しかなければ、そのパワコンが故障すると発電が完全に停止してしまいまい、融資の返済もままならなくなってしまいます。 一方で、分散型の場合には、故障した機器のみを交換すればよく、交換までの期間も他のパワコンによる発電を継続できるというメリットがあります。 一般にパワコンをまるごと交換する場合が多いので、少額の費用で済むことが多いです。

メンテナンス費用の圧縮

集中型のパワコンでは、空冷用ファンエアコン、インバータその他の基板、コンデンサなどの消耗部品があり、それらを交換しながら運用する設計になっている為、高額な年間保守契約を締結したり、故障や交換時に高額な費用を払ったりする必要があります。 分散型の場合は、遠隔監視で確認した上で機器をまるごと交換するのが前提であるため、メンテナンス費用を抑えることができます。


売電量の改善

パワコンがパネルで発電した電気を取り出すのに大きく分けて2つの機能があります。 一つは直流の電気を取り出す際に最適な電圧と電流の組み合わせを探して最大限多くの電力を取り出すMPPTと呼ばれる機能で、もう一つが直流の電気を交流に変換して電力系統に送る機能です。 一般に集中型では、多くのストリングを一括で受けるので、MPPTのチャンネル数は少なく、多くの場合、パワコン一個に対して一個のみだったりします。 それに対して分散型の場合は、パワコンの台数が多いので結果としてMPPTの数も多くなります。 特にオプティマイザーを用いるタイプになるとパネル1枚(2枚)に付き一個のMPPTを持つものもあります。

MPPTの数が少ないと、より広範囲のパネル(ストリング)を一つの条件で最適化しなければならないので、その範囲が一様ではなく影があったり、故障パネルがあった場合には不適切な条件で最適化されることになるので、取り出せる電力が少なくなってしまいます。 建設当初はどのパネルの健全であったかも知れませんが、実際の環境においては、様々な要因で故障したり、破損したり、汚れたりしてパネル毎の発電量も一様ではなくなります。 そうなると、集中型のパワコンでの発電量は時間が経過するに従い分散型よりも劣る様になって来ます。 これは、仕組み上の必然であり、避けられないものです。

パネルの再利用

多くの集中型のパワコンは、同一のパネルを決まった枚数直列に並べたストリングを複数並列に並べて接続することを前提に設計されています。 これは、分散型でも同様なのですが、何らかの理由でパネルを交換したくなったり、再利用したくなった際には大きな違いが出てきます。 パネルの技術は日進月歩で日々高性能なパネルが発売されています。 逆に、当初設置したパネルと同等のパネルを入手することは極めて困難というよりも事実上不可能です。 分散型の場合は、パワコン毎またはもう少し範囲の狭いMPPT毎にパネルを交換すれば済むので、パネルの交換や再利用を柔軟に考えることができます。 先述のオプティマイザーを用いたシステムの場合には、パネル1枚(2枚)の単位での交換が可能なので、より効率的な発電事業が可能になります。





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