2021年1月31日日曜日

DCカップリング 〜 再エネ+蓄電池システムの進むべき方向 

近年の太陽光発電所では、投資効率を最適化したり、パワコンの設備利用率を上げる為に、パワコンの定格出力に対してDC入力を多めに設定することが多くなっています(過積載)。単に、売電収益を上げるということであればこれで良いのかも知れませんが、その後の展開を考えると更に面白い可能性が開けているようです。


発電の目的は言うまでもなく実際に使用する電気をつくることです。その文脈で行けば発電量の源泉であるパネルの枚数は多ければ多いほど良いに決まっています。ただ、多くの方が気になるであろうポイントは、過積載にするとパワコンに供給されたDC入力のうち、パワコンの定格出力を超えた分はピークカットとして捨てられてしまいもったいないということではないでしょうか?

この’もったいない’電力を有効利用する為にはこれらの電力がパワコンで捨てられてしまう前にDCの状態で取り込む必要があります。一旦、ACになってしまうと再生不能になってしまうからです。実は、電気をACに変換する前にDCで取り込むこと自体にもメリットがあったりします。それは電気をDCで使用・貯蔵する場合です。

実は、私達の身の回りの多くの電気製品はDCで動いています。電力会社からの電力供給はACですが、多くの機器はAC/DCコンバーターを介して電力を受け取っています。スマホやパソコンなどを思い浮かべて下さい。最終的にDCの5Vや12Vや19Vで給電されている筈です。これは、昨今、注目されている電気自動車(EV)や大型蓄電池でも同様で、最終的にはDCで充電されます。電池には固定のプラスとマイナス極がありますよね?これは直流である証拠です。

つまり、普段の我々の生活ではACで供給された電力をDCに変換して使っている場合が多いのです。では、DCで供給された電力をACに変換してから再度DCに変換する必要はあるのでしょうか?基本的には無駄なことだと思います。実は数年前からDCカップリングの製品が海外で展開されたことがあったりするので、必ずしも最新のネタではないのですが、これが今後進んでいく方向だとは考えています。

DCカップリングになった場合、数多くあるパネルのストリング電圧を発電効率を損なうことなく同じ電圧に揃えることが重要になってきます。単純にDC入力をバスバーで繋げばもちろん同じ電圧になりますが、それではシステム全体の発電効率が落ちてしまいます。これを避ける為には、パワコンでMPPTと言われている機能を用いて、それぞれのパネルストリングから最大電力が取り出せる電圧・電流を調整してから改めて電圧を調整し共通電圧に揃える仕組みが必須になります。これは技術的には難しいことではありませんが、既存の太陽光発電システムの設計によっては対応しやすいものと、余分なコストがかかりやすいものがあります。


下の動画はSolarEdgeのものですので、彼らが有利なのは間違いないですが、国内にも得意技術を活かして水面下で準備している企業もありそうです。



 https://www.youtube.com/watch?v=x9eTtV4sgVU